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ブタザル

地下の部屋。
壁は煉瓦で、床はコンクリート、廊下側は床から天井まで鉄格子になっていて、その反対側の壁の高みに小さな明かり取りの窓がある。
その窓は高さ的にちょうど地面ぎりぎりくらいの位置にあり、もちろん頑丈な鉄格子がはめられており、窓の外には雑草が茂っている。
部屋の広さは六畳ほどで、室温は空調装置によってコントロールされているので常に暑くもなく寒くもなく一定の温度に保たれているが、それでも全裸で暮らしている君にとって、冬の夜などはやはり肌寒さを感じてしまう。
だから冬が去ると、君はほっとする。
おそらく床に絨毯が敷いてあったり窓にカーテンでもひかれていれば随分体感的に違うのだろうが、この部屋は地下牢であり、調度品など殆どない。
調度品と呼べそうなものといえば、粗末なベッドに毛布、簡素なテーブルと椅子、そして衝立も何もない剥き出しのトイレ、その程度だ。
ただし、そういう備品以外となると、調教や拷問のための道具がある。
壁にはX字の磔台、天井には滑車があってそこには鎖がぶら下がり、奴隷を吊るしておくための棒なども渡してある。
そしてひとつだけチェストが置かれていて、その引き出しには調教のための小道具類が入っている。

夜のこの時間、明かりは黄ばんだ裸電球だけで、君の影が頼りなく床に落ちている。
君はベッドの前で床に膝を抱えて座り、ぼんやりと高みの窓を見上げていた。
べつにそこから外の世界に出たいと考えていたわけではない。
ただ、月でも出ているのか、闇と同化した壁の高みで窓の部分だけが淡く光って見えていたので、なんとなく視線を向けていただけだ。
君の前には、アルミ製のボウルがある。
その中には先ほどまで飼い主である女性の夕食の残飯が君の餌として放り込まれていた。
君はその何もかもが一緒にぶち込まれた残飯を、犬のような格好で、四つん這いになってそのボウルに突っ伏しながら、全部食べた。
君は既に当たり前の人間としての生活を捨てることに同意していて、食事は犬のように手を使わずに食べることを義務づけられている。
室内には監視カメラがあって君の行動は二十四時間監視されているから、一秒たりとも気を抜ける瞬間はない。
ちなみに今夜の夕食はビーフシチューとサラダとフランスパンとデザートのケーキと炭酸水が一緒に放り込まれてぐちゃぐちゃにかき混ぜられた残飯だった。
その餌が与えられた時、当然のこととして、シチューらしきものの表面にはソースのように飼い主の女性の唾がたっぷり吐き捨てられていた。

靴音が聞こえた。
君は体を硬直させ、息を詰めた。
まるでパブロフの犬のように、それまでの膝を抱えて座る姿勢から、廊下の方を向いた正座になる。
靴音はひとりではなく、どうやらふたりのようだった。
ひとりは飼い主である女性として、もうひとりは誰なのだろう? と君は思った。
やがて、階段を下りてくる靴音がだんだん大きくなり、ふたりの女性が姿を見せた。
ひとりは君の飼い主であり、この家の主人でもある、長身の美しい女性だった。
歳は二十代後半で、冷たい顔立ちの美人だ。
その女性は、グレーのタイトなスカートに、白いシンプルなシャツを、胸を大胆に開けて着ている。
もうひとりは、同じ年頃に見える、やはり長身で美しい女性だった。
ただしそのもうひとりの女性は私服ではなく、軍服のようなものを着ていた。
ブーツの踵は高く、その爪先は尖っており、手に鞭を持っている。
そして君を見て、唇の端を僅かに持ち上げ、冷笑を浮かべた。

「これが話してたブタザルよ」
飼い主の女性が君を顎でしゃくって示す。
「確かに見た目が豚みたいに醜いけど、どうして猿もつくの?」
軍服の女性が君を見下ろしながら飼い主の女性に訊く。
「だって、こいつは放っておいたら猿みたいに四六時中オナってるから」
「そんなにオナニーが好きなんだ、こいつ」
あからさまに軽蔑した眼で君を見て、軍服の女性は嘲笑した。
初対面の女性からそのように言われて、君は緊張と恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら俯いた。
「しかも、こいつは人に見られながらするオナニーが大好きだし、たとえばパンツとかその場で脱いで与えたら笑えるくらい必死にシコりだすわよ」
飼い主の女性がそう言うと、軍服の女性は「見てみたいなあ」と笑いながら言った。
「見たい?」
軽やかに笑いながら飼い主の女性は言うと、おもむろに少し屈み、スカートの中に手を入れてするすると下着を脱いだ。
そしてそれをつまみ、女性は鉄格子の前でしゃがむと、隙間から君の前に差し出し、鼻の先でその小さな布をひらひらさせる。
それはワイン色の高級そうなショーツで、君の視線はその小さな布に釘付けになる。
「欲しい?」
「はい!」
君は眼をランランと輝かせてこたえる。
「おいで」
「はい!」
君はその下着ににじり寄った。
既にペニスは完全に勃起していて、女性が軍服の女性に「ほら、もうすごいでしょ、このチンポ」と言った。
「単純というか馬鹿というか」
呆れたように軍服の女性は腕組みして君を見下ろした。
「こいつ、パンツが大好物なのよ」
女性が下着を君の顔に密着させた。
君は鼻先を布に埋め、深呼吸した。
布は温かく、クロッチの辺りは湿っていて、生々しい香気が君を包み込んだ。
「ほら、自分で持って、好きなように使いなさい」
女性は下着を手放した。
君は「ありがとうごさいます!」と歓喜してそれを大事そうに両手でそっと持つと、腰を浮かし、まずはクロッチの部分に鼻先を擦り付けてその布の感触と染み込んだ香りに酔いしれた。
そして、そのまま下着を左手だけで持って鼻を埋めると、右手でペニスを握り、猛然と擦りだした。
「うわっ、ほんとにやってるよ」
軍服の女性が笑い声を上げた。
君はふたりの美しい女性の前で自慰姿を晒しているということに一層昂りながら、激しくペニスを擦り上げていく。
軍服の女性が君を見下ろして言う。
「確かにまさに猿だ。センズリを憶えた猿ってずっと擦ってるらしいし、きっとこういう風なんだろうね」
「そうね」
飼い主の女性は言い、続けた。
「でも面白いのはこの先、たとえば」
そう言うと、君に向かって「ストップ!」と声をかけた。
君は勿論そのまま擦り続けて射精まで達したかったが、その声でぴたりと動きを止めた。
飼い主の女性の命令はいつでも絶対なのだ。
「こうやって途中でやめさせるの。どう、面白いでしょ?」
君は悶々としながら未練がましくペニスを握り、再開の許可を懇願するように切なげな目で飼い主の女性を見上げる。
しかしその手を動かすことは許されない。
「うわあ、すごく哀れじゃない?」
「それがいいのよ」
含み笑いを漏らしながら女性は言い、鉄格子のドアを開けると、軍服の女性と一緒に房内に入った。
そして君に訊く。
「そんなにそのパンツでオナニーしたいの?」
「はい……したいです」
君はまだペニスを握ったまま、哀願の目で女性を見つめて言う。
「そう……そんなに汚れたパンツの臭いを嗅ぎながらその貧相な皮被りのチンポをシコシコしたいんだ? 正真正銘、筋金入りの変態ね、おまえ」
「はい……すみません」
君は小声で言い、俯く。
「いい加減そのチンポから手を離しなさい」
「申し訳ございません」
君は謝罪してペニスから手を離した。
「じゃあ」
女性はそう言うと、君の手から下着を奪い、そのまま君の頭に被せた。
君は両手を軽く握って膝の上に置いた。
女性は、君の頭に被せた下着を、クロッチの位置がちょうど君の鼻から口を被うようにずらして修正した後、鼻で笑った。
「素敵な格好だこと」
そして女性はチェストの引き出しを開けると、中から手首にはめる革製の枷を取り出し、君に命じた。
「そこに立ちなさい」
「はい!」
君は立ち上がり、下着を顔に被ったまま、ふたりの女性の前に立った。
ふたりとも君より頭ひとつ分くらい背が高く、しかも君はパンツを被っただけの全裸で女性たちは着衣だったので、向かい合って立つと君の存在の矮小さが際立った。
君はふたりの美しい女性に間近で見下ろされ、体を強張らせた。
下着の柔らかく温かい感触と濃密な匂いに包まれながら、君は心が張り裂けるほどにそのまま自慰をしたかったが、その願いは叶わない。
まさに情けも何もない生殺し状態だったが、君にはどうしようもない。
飼い主の許可なく自慰をするなんて、決して許されることではないのだ。

飼い主の女性は、そんな君の葛藤など気にも留めず、君をまっすぐに立たせた。
そして君の両手の手首に革の枷をつけると、それに付属する短い鎖を頭上に渡してあるスティールの棒に繋いだ。
すると君は、強制的に万歳をしたままの体勢になった。
そして足を開いて立つように命じられ、君がその通りにすると、醜い無様な体のラインは剥き出しになった。
股間にぶら下がる性器が、半ば皮を被ったまま見る間にそそり立っていく。
それを見て、ふたりの女性は嘲るように小さく笑う。
ふたりとも唇の端を僅かに持ち上げ、冷めた視線を君に注ぐ。
その侮蔑の視線に、君は一層勃起を固くしてしまう。

限界まで屹立した性器は、それでもまだ亀頭の半分近くを包皮が被っている。
いっそ君はそれを手を使って剥いてしまいたいが、両手は上げたまま拘束されているし、身動き自体、まるでとれない。

「さて」
飼い主の女性が言い、君の頬を勢い良く一発張った後、隣に立つ軍服の女性を見た。
「好きなだけ自由に鞭で打っていいわよ。顔に当たったらとか、そういう心配は一切無用。だってこいつは人間じゃなくブタ猿だから」
「嬉しい、ありがとう」
飼い主の女性がわずかに後ずさる。
軍服の女性は微笑み、持っていた鞭を振り上げると、楽しそうに容赦なく君を鞭で打ち始めた。

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