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救いなき屈辱

着衣の女の子が椅子に座るその前で、君は全裸で起立している。
両腕ともぴたりと体の横につけて背筋を伸ばし、ペニスを勃起させている。
首には革製の首輪を巻いていて、取り付けられたリードは女の子の手に持たれている。
女の子はそのリードを短めに持っていて、君と彼女の間の空間の幅は五十センチほどしかない。
しかも屹立する君のペニスは、高さ的にちょうど女の子の顔の前あたりになっていて、君は彼女の視線を視線を感じる度に小刻みにぴくんぴくんと反応させてしまう。
しかし君は包茎で、勃起しても完全に亀頭は露出せず、若干先端だけ皮が開くが、その皮が伸びきっているためか、君のペニスはまるで弛緩した象の鼻のように見える。

「これでマックスなのかよ?」
女の子が無遠慮な口調で呆れたように言って君を見上げてから、右手の中指と親指で輪を作り、その中指を放して君のペニスの先端を弾いた。
「は、はい……すいません……マックスです……」
勿論君は限界までペニスを勃起させているのだが、もともと貧相な包茎だし、確かに平均以下の長さと太さしかないから、そう訊かれても仕方ない。
「完全に皮被っちゃって……まるで子供のチンポじゃん」
女の子は君のペニスをビンタし、先端で余っている皮を指先で摘んで引っ張った。
「しかも、この皮、あまり過ぎだし」
嘲るように苦笑を漏らし、続けた。
「シコシコし過ぎで皮が伸びちゃったんじゃねえの?」
「すいません……」
君はペニスの皮を引っ張られたまま俯く。

この状況は、君が当初、想定したものとは少し違っていた。
マゾであることを自分よりはるかに年下の女性に告白し、小馬鹿にされながら責められることは問題ないし、というより希望通りなのだが、あくまでも「変態マゾ」として扱われることを想定していた。
しかし、君は最初の段階で、調子に乗ってしまった。
君は女の子と対面した瞬間、そのあまりに魅力的な姿に、単なる「変態マゾ」であるだけでなく「童貞の変態マゾ」として破廉恥に発情してしまい、つい「ぼ、ぼく実はマゾであると同時に童貞なのですが……」と口走り、更に鞄から既にリードが付けてある首輪を取り出して彼女に手渡そうとしながら「この首輪を付けていただいて、いろいろリードしていただきながら筆下ろししていただけますか」と敬語で謙りつつ哀願してしまったのだ。
何せ君は完全な童貞で女性経験が皆無なので、この絶好の機会を逃したくなくて必死だったのだが、そう言った次の瞬間、女の子はがらりと態度を豹変させた。
「はあ? ふざけんじゃねえぞ」
それまでは「マゾとかマジおもしれえ」と言って嘲るように笑っていたのだが、君の性交願望を聞いてさっと冷めた表情になると、女の子は君を突き飛ばし、ベッドの上で胡座をかいた。
君は突然の彼女の変化に戸惑いを隠せないまま、転げ落ちたベッドの下で正座をした。
「童貞? そんな分際であたしとセックスなんて百年早いわ。だいたい、リードとかなんであたしがそんな面倒くせえことしなきゃいけねえんだよ」
女の子はそう言い捨て、煙草に火を点けると、ベッドからさっさと降りて椅子へと移動して座り、「こっち来い」と咥え煙草のまま君を呼んだ。
「はい」
君はすっかり萎縮しながらいそいそと彼女のそばまで行き、すると「服を全部脱いで正座しろ」と命じられた。
「はい、失礼いたします」
シャツとズボンを脱ぎ、パンツと靴下も脱いで全裸になると、君はもう勃起している股間を手で隠しつつ、改めて彼女の足許で正座した。
「手、どけろ」
「はい」
君は命じられた通り、股間を隠している手をどけた。
勃起したペニスが撥ねるようにぴょんと飛び出したが、それは見事な包茎だったので、女の子はあからさまに侮蔑の色を眼に滲ませて君を見下ろした。
「マゾで童貞どころか、さらに包茎じゃねえか」
「すいません……」
「皮被りの分際でよくセックスしたいなんて言えたな、身の程を知れよ」
「申し訳ございません……」
俯き、君は小声で言った。
「その首輪、貸せ」
「はい」
君は傍らに置いていた首輪を手に取ると、彼女に差し出した。
「首」
女の子は立てた人差し指を動かして君を呼び寄せ、君は首をぐいっと前へ伸ばした。
その君の首に、女の子は首輪を装着し、リードを数回、感触を確かめるようにくいっくいっと引っ張ってから、「立て」と君に言った。
それは全く感情がこもっていない冷めきった口調で、君は怯えのようなものを瞳に浮かべながら「はい」と立ち上がったのだったーー。

「だいたいなー」

女の子は短くなっていた煙草を、灰皿をつつくようにして消し、再び君のペニスを指先で弾いた。
「筆下ろしとか言ってたけど、おまえ、あたしが生まれた時、何歳だよ」
君は彼女の正確な年齢を知らなかったが、だいたいの見当をつけて頭の中で計算し、こたえた。
すると、その答えを聞いて女の子は爆笑した。
「そんな歳のおまえが未だ童貞で、あたしはとっくにやりまくってるとか、普通に恥ずかしくね? 一体おまえ何やって生きていたんだ? 自分で自分が情けなくなってこねえ? しかもそんなあたしにおまえは筆下ろししてくれとかはずかしげもなく言っちゃって、人が聞いたら、頭大丈夫か? と思われるぞ、なあ?」
女の子は君を下から挑戦的な眼で見上げた。
その口調には年上の大人の男に対する敬意や遠慮など微塵も感じられなかったが、充分に的を射た正しい指摘だったので、君は何も言い返すことができず、「はい……」と短くこたえると、押し黙った。
確かに年齢差等を考えると、何もかもが間違っている気がしたし、どうにも恥ずかしくてたまらなかった。
とはいえ君はマゾだから、その恥ずかしさも或る意味では興奮要因だった。
それでも、冷静に指摘されると、一応は社会の片隅でとくにはみ出しもせず細々とそれなりに真っ当に暮らしている身としては、いたたまれない気恥ずかしさというか情けなさが自分の中で爆発してしまった。
世間的な感覚からすれば、どう贔屓めに捉えても君からすれば目の前の女の子はただの小娘だった。
しかし君はそんな女の子の前で全裸になって立たされ、敬語で喋り、首輪を装着してそのリードを持たれながら露骨に軽蔑されている。
この構図自体、大人の男としてはこれ以上ないくらい屈辱的で、普通にもう終わっていた。
ただし、そんな小娘に平伏し理不尽に罵倒され軽蔑されながら救いなき屈辱の底へ堕ちていくことを自ら望んでしまうのが、君という人間なのだった。

「まあ、こんなチンポだもんな、童貞でも仕方ないわな」
女の子は君のペニスの先端の皮を摘んで無造作に引っ張り、鼻で笑った。
君は体まで真っ赤になりながら「すみません……」とこたえた。
「おまえ、さっきから『すみません』ばっかだな」
「すみま」
とそこまで言いかけて、君は言い直す。
「申し訳ございません」
女の子は爆笑し、ペニスを更に引っ張る。
「意味、同じだろ、ほんとバカだな」
心の底から呆れたように女の子は吐き捨て、ペニスから「ああ汚い」と言いながら手を離すと、「お座り」と命じた。
「はい」
君は犬のようにその場でお座りをした。
裸で首輪を付けてリードを持たれているので、それは「犬のように」というより「犬そのもの」の行動だった。

「おまえさあ」
女の子が君の顎に手をかけて前を向かせ、その顔にぺっと唾を吐いてから訊いた。
「それだけ皮がびろびろに伸びてるってことは相当なオナ好きなんだろ? つかしょっちゅうシコシコしてんだろ、どうせ」
「はい……」
君は顔面を伝っていく生暖かい唾の感触を感じながらこたえた。
「そんなセンズリ名人みたいなおまえがセックスとか、まじ笑えるよな?」
「申し訳ございません……」
「とりあえず」
女の子はそう言うと、脚を組み、おもむろに紺色のハイソックスの湿った爪先を君の鼻先に伸ばして押し付け、言った。
「臭いこの足の匂いでも嗅ぎながらオナっとけよ、おまえなんかそれで充分だろ?」
蒸れた激臭が君の鼻腔を貫いた。
「はい、光栄でございます」
君は左手で女の子の足の踵を持って支えると、爪先にぐっと鼻を押し付けて腰を浮かし、右手でペニスをしごき始めた。
その様子を見て女の子は爆笑する。
「マジでやってるよ、このクズ」
面白がって女の子は爪先を更にぐいぐいと君の鼻に押し付けた。
君の昂りは、女の子の嘲笑と生暖かく芳しい爪先の香気によって、一気にリミッターを振り切った。

君は壊れた掃除機のように足の臭いを激しく吸引しながら、陶酔したように半眼になってペニスをしごき続ける。

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