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キミノシゴト

君の仕事は、飼い主の女性に対して絶対服従を誓い、誠心誠意仕え、身の回りの世話をすることだ。
いや、身の回りの世話を「する」という表現は正確ではない。
身の回りの世話を「させて頂く」、それが正しいスタンスだろう。

しかしマゾとしての君の立場は微妙だ。
奴隷というほど過酷な暮らしではないし、ペットや家畜といった動物のような扱いを受けているわけでもない。
かといって、人間らしい暮らしか? と問われれば、違う。
そもそも君は常に全裸で首輪を装着しているし、必要な場合はリードが付けられるから、とうてい人間らしい生活とはいえない。
それに、もちろん調教がある。
体には無数の鞭の跡があり、全身の毛を剃り上げている。

役割としては「執事」とか「使用人」とか、そのあたりが立場としては最も近いかもしれない。
しかし君は飼い主の女性からそのような立場であることを認められてはいない。
結局、君は「飼われているマゾ」、それ以外の何者でもない。
それ以上でもなければ、それ以下でもない。
まともな人間とはいえない。
しかし、マゾ性がどっぷりとしみ込んでいる精神性はともかく、扱いとしては豚や犬といった畜生ではない。
むろん、君は「マゾ豚」とか「マゾ犬」とか罵られることは日常茶飯事だ。
それでも、「人権」なんて無縁な言葉だが、一応は人間の言語を使用することが認められているし、通常では二足歩行が許可されている。
だから、やはり君は単なる「飼われているマゾ」なのだ。

「ただいま」

飼い主の女性が帰宅した。
君は既に四十二分前から玄関で待機している。
もちろん一糸纏わぬ全裸だ。
女性の帰宅時間は必ずしも一定ではないが、夜の七時以降、君は玄関で待機する。
それより早い場合は、まだ君は夕食の準備をしているので、少し遅れるが、急いで玄関へと馳せ参じることになる。

「お帰りなさいませ」
跪いている全裸の君は額を床につけてそう言ってから、頭を上げ、「失礼いたします」と女性のブーツへと手を伸ばした。
女性は壁に手をついて体を支えながら、まず右足を上げて君に突きつけた。
君は丁寧にブーツを足から引き抜いていく。
すると、現出したストッキングの足からは、もわっと蒸れた香気が立ち昇る。
充分に熟成された、濃厚な匂いだ。
それは脱がせたブーツの中からも立ち昇っている。
その芳醇な香りに、即座に君のペニスは反応し、ぐいぐいと勃起した。
君はまず右足だけブーツを脱がせると、失礼いたします、とその女性の足の踵を両手で持ち、爪先に鼻を押し付けた。
これは、君にとって、ありがたい褒美の一種だ。
女性が帰宅した際は、足の匂いを数秒だけ嗅ぐことを許されている。
君は、女性の足の裏、指の付け根に思いっきり鼻を押し付け、匂いを吸い込む。
ストッキングの足の裏は若干湿り気を帯びていて、暖かかった。
「はい、終わり」
数秒後、鷹揚のない声であっさりと女性は言い、足を床に下ろした。
「ありがとうございました」
君は礼を述べ、続いて左足のブーツを脱がせ始める。
しかし匂いを嗅げるのは一度だけなので、左足のブーツを脱がせた後は、何もない。
女性は両方のブーツを脱ぎ終えると、それを三和土の隅に並べている君に向かって、言った。
「お風呂、入るわ」
「はい、承知いたしました」
君は立ち上がり、女性の先に立って浴室へと向かった。

浴室では、当然風呂は沸いている。
女性はいったん自室に立ち寄って鞄など荷物を置いてからやってくるので、それまでの間に、新しいバスタオルやバスローブを用意し、君は再び正座で待機する。
やがて、女性がミニスカートとシンプルなシャツという姿で脱衣室に現れた。
ジャケットは自室で脱いできたようだった。
そして足許に跪いている君を一瞥し、命じた。
「スカートとシャツはクリーニングに出して。あと、パンツとブラとストッキングはおまえが洗濯。いいわね?」
「はい」
君は脱衣室の隅で正座したまま頭を下げた。
女性は、君の目の前で服を脱ぎ始めた。
シャツを脱ぎ、スカートを下ろすと、それを棚に置いた。
続いて、ストッキングを脚から抜き取るように脱ぎ、丸まったまま床に捨てた。
更に、ブラジャーを外し、パンティを下ろして、ストッキングの脇に脱ぎ捨てた。
その下着は、淡いピンクで、ブラジャーとパンティはセットになっていた。
どちらにも複雑な刺繍が施されていて、素材はコットンだが、いかにも高価そうだった。
君の目の前に、完璧な裸体が出現する。
素晴らしく肉感的なボティだ。
バストは大きく、尻は豊かで、腰は見事にくびれていて、太すぎず細すぎない脚が長い。
白い肌も魅惑的だ。
君はその美しさに息を飲み、痴呆のように見上げた。
しかしその体は、今の君にとって宇宙の果ての星雲よりも遠い。
触れることも舐めることも君はできない。
女性は君の存在など完全に無視して、股間の陰毛の茂みすら隠すことなく見せつけながら、バスルームに消えた。

すぐに、曇りガラスのドアの向こうから、シャワーの音が聞こえてきた。
君はその音を合図とするように、まずはシャツとスカートを棚から取り、クリーニング店へ持っていくためのボックスに入れた。
それから、床に脱ぎ捨てられている下着とストッキングを拾い上げ、君は心を躍らせながら地下にある洗濯室へと向かった。

軽い足取りで地下への階段を駆け下りていくと、そこに洗濯室がある。
ドアを開けて中に入ると、洗濯機や乾燥機が並んでいて、部屋の隅に、中に大きな盥が置かれた水場がある。
そこは手洗い用のスペースで、子供用のビニール製のプールほどの広さだ。
そして壁際に洗濯物を入れておくためのボックスがふたつある。
ひとつは大きくて衣服用、もうひとつは小さくて下着や靴下用だ。
しかし今日現在、洗濯物は溜まっていない。
君は改めて自分の手の中にある、いま女性が脱いだばかりのパンティとブラジャーとストッキングを見つめた。
まだほんのりと温もりを残すそれらは、君にとって、この世で最も尊い布地だった。
ストッキングの爪先は微妙に湿っていて、パンティのクロッチの部分を見れば、黄ばんだ沁みが付着している。
しかしもちろんそれらは決して穢れではない。
飼い主の女性から分泌される体液等は、君からすればすべてが至高の物質であり、崇拝の対象だ。
君はその場で膝をつき、布の塊に顔を埋めた。
女性の生々しい匂いが鼻孔を突き抜け、君はこの上ない至福に包まれる。
貧相なペニスが限界までそそり立つ。
下着類の洗濯は常に手洗いなのだが、その前にこうして匂いを堪能するのは君にとって幸福の瞬間だった。
むろん、女性の許可は得ている。
むしろ女性が君を不憫に思って洗濯の際くらいは下着やストッキングの匂いを自由に嗅いでも良いと慈悲の心を示したのだった。

しかし、いつまでものんびりとはしていられない。
いったん女性が風呂に入れば、入浴時間は短くても三十分はあり、たいていは一時間ほどゆったりとバスタイムを過ごすのが常だが、君はその間に夕食の準備をしなければならないからだ。
食前に、風呂上がりの飲み物を用意しなければならないし、ここでゆっくりしている時間はそれほどない。
ちなみに洗濯自体は、飼い主の女性の就寝後、深夜に行う。

それでも、君はもう我慢がならなかった。
ブラジャーを首に掛け、右手にパンティ、左手にストッキングを持ち、それらを鼻先に押し当てて思い切り香気を吸引する。
クロッチの部分の滑りを鼻先で充分に味わった後、舐め、そのまま布地をしゃぶる。
そうしてしゃぶりながら、今度はストッキングの爪先に鼻を埋める。
それはなんともおぞましい姿だったが、地下の洗濯室には君しかいないから関係ない。
君は、このままでは両手が塞がっていて自慰ができないので、ブラジャーは首に掛けたまま、まずパンティをプロレスの覆面のように頭から被り、クロッチのちょうど沁みのある部分を口に合わせた。
そして、ストッキングの爪先をそのパンティの隙間から押し込み、鼻先に宛てがった。
パンティのゴムのお陰で、ストッキングはそんな中途半端な位置でもなんとか固定された。
そうして、女性の濃厚な香りに包まれながら、君は猛然と自慰を開始した。
床で、膝で立ち、左の掌を使って顔面を覆うパンティやストッキングを抑え込み、右手でペニスを握り、しごく。
たちまち息が荒くなり、陰茎を擦る手の上下運動が加速していく。

やがて君はたまらず床に横たわり、仰向けになった。
そしてそのまま、やはりパンティとストッキングは左手で顔に押し付けつつ、自慰を継続した。
クロッチの沁みを布と一緒にしゃぶり、ストッキングの爪先の匂いを深々と吸い込みながら、狂ったように勃起を扱き続ける。
快感が突き上げてきた。
射精への衝動が高まっていく。
「あああ」
君はひとりで情けない声を漏らし、次の瞬間、白濁液を盛大に噴射した。
更に、まるで最後の一滴まで絞り出すようにゆっくりと扱くと、マグマのように精液がドクドクと溢れ出た。
掌とペニスがネバネバとした精液に塗れる。

君は脱力し、しばらくの間、仰向けのままでいた。
精液に塗れた掌もペニスも、首に掛けたブラジャーも顔面を覆うパンティも鼻先に宛てがったストッキングもそのままに、君はぐったりとなりながら、呼吸が鎮静に向かうのを待った。

じきに君は落ち着きを取り戻した。
体を起こし、パンティとストッキングを取り、ブラジャーも首から抜く。
そしてそれらを洗濯物のボックスに入れ、水場で汚れたままの手とペニスを洗ってから、洗濯室を出た。
女性に飼われているマゾである君に、射精の余韻にゆっくりと浸っていられるような余裕はない。
とりあえずは、風呂上がりの飲み物の用意と、その後に続く夕食の準備がある。
もうそんなに時間的な猶予もないだろう。
君は一段飛ばしで階段を駆け上がっていく。

君には、やらなければならない仕事が山のようにある。

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