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オーバーラン

異性とは全く縁がなく、しかも変態でM男という、大人の男として救いのない君がそれでも女性と触れ合おうと考えるなら、むろんそれは身の程知らずの願望なのだが、最後の救済の手段として、今の時代には風俗店があり、君のような人間でもお金さえ支払えば女体にありつける。
しかしそんな君でも、風俗店の利用を避けている日がある。
自分でそう設定しているその日とは、クリスマス(イブを含む)、自分の誕生日、そしてバレンタインデーだ。
さすがの君でも、それらの日に風俗へ行くのは、侘しい。
つまらないプライドかもしれないが、君としては、プライドというより、あまりに自分が惨め過ぎて不憫で、哀しくてたまらないから、行かないようにしているだけだった。
ただし、今年の君は少し違った。
バレンタインデーの今日、SMクラブに予約を入れたのだった。
理由は単純だった。
同僚に飲みに誘われたのだが、つい「用事がある」と言ってしまったのだ。
その時、追い討ちをかけるように「女の訳がないだろうけど、まあいいわ」と軽く笑われながら言われ、衝動的にいつも通っているクラブに予約を入れてしまった。
確かに、君のバレンタインデーの夜の予定が「女」である筈がない。
しかし変態M男の君には、クラブの女王様がいる。
所詮は「お仕事」の関係だが、女性は女性だ。
そういう気持が、今夜の君の背中を強引に押した。

仕事を終えた君は、さっさと職場のある地域を離れ、SMクラブのある町へ移動すると、牛丼屋で夕食をとり、予約を入れた午後十一時まで、漫画喫茶で時間を潰した。
そうして午後十一時の十五分前に店を出て、十分前にはクラブに入った。
しかしバレンタインデーだというのに、君の他にも寂しいM男が多いのか、お茶を運んできた店員から恐縮そうに「前の客が押しているので少々お待ち下さい」と言われ、君は二十分ほど待合室で待った。
やがて、待合室の奥の控え室のドアが開いて、予約を入れた女王様が大きなバッグを持って現れた。
君は店員に「お待たせしました」と見送られて待合室を出ると、女王様と一緒にプレイルームへと向かった。
この女王様を指名するのは初めてだった。
しかし以前に店のパネルで写真は見ていたし、営業用のプログも読んでいたから、思い切って予約した。
ルームへと向かう狭い階段の前で、君は言った。
「鞄、お持ちします」
「ありがと」
女王様は君にバックを手渡し、先に階段を上っていく。
調教のための道具や衣装が入った大きなバッグは、結構重かった。
君はそのバッグを持って女王様の後ろに続いて階段を上がる。
背が高く、威圧感を与える女性だった。
すぐ目の前にある、レザーのミニスカートに包まれた尻のボリュームとその躍動に、君の気持と視線はたちまち奪われた。
(もうすぐこの大きくて柔らかそうなお尻様に蹂躙していただけるのだ)
そう思うと、君は呆気なく勃起した。

遮音性の高い、重いドアを開けてプレイルームに入ると、ひとまず君は女王様と並んでベッドに座った。
バッグは、プレイで使う女王様用の椅子の傍らに置いた。
隣に女王様が座ると、香水のいい匂いがして君は蕩けそうになる。
「初めまして、だよね?」
女王様が君に訊いた。
「はい」
君は答え、付け加えた。
「バネルで見たり、ブログを読んだりしていました」
「そう」
女王様は頷くと、親しげな感じの柔らかい笑顔を浮かべて、言った。
「それにしてもバレンタインにこんなところへ来るなんて、ド変態だよね」
「すいません」
君は顔を真っ赤にして俯く。
そんな君に、女王様は命じた。
「早く裸になりたいんでしょ? チンポ出したいんでしょ? ここで、わたしの前で脱いで立ちなさい」
「はい!」
君は立ち上がり、いそいそと服を脱いでいき、靴下だけを残して裸になった。
そして両手を体の横にぴたりとつけた。
ペニスが虚しく宙に突き立てられている。
それを見て女王様は「もう勃ってる」と笑い、指先で亀頭をピンっと弾いた。
「さ、靴下も脱いで、シャワーを浴びていらっしゃい」
「はい」
君は靴下を脱ぎ、衣服をすべてひとまとめにして持つと、ルームの隅にあるシャワーブースへ向かった。
トイレと一緒になったシャワーブースは全面ガラス張りで、中が丸見えだった。
君は入り口のドアの脇の籠の中に脱いだ服を入れると、シャワーブースに入った。
そして調教への期待に胸を高鳴らせながらボディーソープで体を洗った。

シャワーから出てくると、女王様は既にボンデージに着替えを済ませて椅子に座っている。
君はバスタオルで素早く体を拭くと、そのタオルを自分の衣服が入っている籠に放り、股間を手で隠しながら、しずしずと女王様の前へと進んだ。
そして手を退けて勃起したペニスを晒しながら跪き、体を小さく丸めながら額を床につけ、ご挨拶を述べる。
「御調教、よろしくお願い致します」
すると返事の代わりに、君の後頭部に女王様のヒールの底が置かれた。

調教は厳しかった。
プレイが始まると、女王様の美しい顔から柔和な笑みは完全に消え、君は一匹の奴隷に叩き落とされた。
壁のX字の磔台に括り付けられ、容赦ない鞭を浴びた。
拘束されたまま壮絶な往復ビンタで張り飛ばされ、体中に唾を浴び、解放されると、息吐く暇もなく亀甲縛りで体の自由を奪われて、天井の滑車から下がる鎖に繋がれて、後ろ手に回した手首と、右足だけを上げた状態の膝で、吊り上げられた。
君はかろうじて左足の先だけを床につけながら、不安定な片足吊りの体勢で、長い鞭を打たれた。
まるでサーカスの象にでもなった気分だった。
体に、無数の鞭の跡が赤く刻まれていく。
君は、壁の大きな鏡に映るそんな無様な自分の姿を横目に見て、余計に昂ってしまった。
ペニスが限界まで反り返る。

じきに拘束を解かれると、ご褒美として、おみ足を与えられた。
君は椅子に脚を組んで座る女王様の足許に跪き、ヒールを脱いだ素足を両手で慎重に掲げ持つと、まるで咲き誇る可憐で美しい花の香りを嗅ぐように、まずは爪先に鼻を押し付けて匂いに酔いしれ、心ゆくまで堪能し、それから入念に舐めた。
足の指の一本一本、指の間、そして足の裏……と長く伸ばした舌を丁寧に這わせていく。
「もう、いい」
やがて女王様は君の意思など関係なく足を引いて終了させると、改めて命じた。
「そこに仰向けに寝なさい」
「はい!」
君は命じられた通り、床に寝そべった。
すぐに女王様が君の顔を跨ぎ、無造作にショーツを下ろして脱いだ。
それをベッドに放り、腰を落とす。
君は迫り来る股間に息を飲み、豊かな尻の丘の谷間に咲く可憐な蕾や茂みに被われた秘裂を凝視する。

そして、ついに初めての瞬間が訪れた。
女王様の蕾が俄に収縮し、膨らみ、黄金の先端が出現した。
壮絶な香気が充ち、その気高さに圧倒されながら、君は息を詰めた。
黄金はみるみる産まれ、やがて、自らの重みに耐えきれなくなったのか、どさりと君の顔面に降臨した。
君の眼の奥で、白い光が弾けた。
柔らかくて暖かい黄金が、君の鼻から口許の辺りにかけてを被っている。
君は陶然となりながら、その感触に押し潰されていた。
さすがにそれを食べることは、いくら変態の君でも無理だった。
それでも最早君は完全に狂いだしていて、顔の上の柔らかい黄金を掌で掬い取ると、その手でペニスを握った。
そして崇高な黄金を慈しみペニスに塗り込むように、ゆっくりとしごく。
君はそうしながら、殆ど無意識のうちに掌を顔に持ってくると、何も考えないまま、単にM男の衝動のひとつとして、指に付着している黄金の欠片を口に含んだ。
舌の上で溶けるそれは今夜の君にとって、この世界でもっとも高貴で尊いチョコレートだった。
そう認識した刹那、君は人間としての欲情の着地に失敗し、理性という滑走路を猛スピードで使い切って華々しくオーバーランした。

こんな行為は人として正しくない、間違っている……微かに残されたヒトとして意識がそう告げていた。
しかしもう君は止まらなかった。
否、止まれなかった。
排泄を終えた女王様は、君の逡巡など関係なく、続いて放尿した。
勢いよく降り注ぐ温かい聖水が、顔面の黄金を容赦なく流していく。
君は眼を瞑り、大きく口を開けた。
いろいろなものが口腔内に注ぎ込まれてくる。
君の口は排水口と化しながら、女王様の体内で濾過され熟成された穢れなき崇高な物質を享受していく。

女王様が君の体の上空で移動し、君の胸元や腹やペニスにも聖水を浴びせた。
そして尿を出し終えると、君に屈み込み、君の顔やペニスに唾を吐いた。

今や君は人間便器だった。
否、正確には、便器人間だ。
君はそう思いながら猛然とペニスをしごいた。
その君の手の動きに合わせて、ペニスや君の手に付着している黄金や聖水の残滓が煌びやかに飛散する。

女王様が、必死な君の顔に唾を吐き続ける。
やがて君は、大量の白濁液を激しく噴出した。

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