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温い水溜まり

湿度も気温も高い雨の朝、君はうんざりしながら混み合う満員電車に乗り込んだ。
後ろから圧力をかけられるように、車両の中ほどへとどんどん押し込まれていく。
一応エアコンは効いているが、雨の日特有の湿気が酷く、車内は蒸し蒸ししている。
すぐに額のあたりに汗が滲み出てきた。
空いている吊り革に手を伸ばして掴み、立ち位置を確保する。
気がつくと君のすぐ前には、背中を向けて立つ制服姿のギャルがいた。
なんとも素敵で良い匂いのする金色の髪が君の鼻先を擽り、君のペニスはムクムクと勃起してしまう。
首筋から僅かに漂う化粧や香水と入り混じる若々しい汗の匂いも魅惑的だった。

ドアが閉まって列車が発車し、加速していく。
窓はすっかり曇ってしまっている。
ちょっとしたカーブに差し掛かると車内に押し込まれた群集が蠢いて揺れる。
その際、君の手が、すぐ前に立つ女性の尻に触れてしまった。
それは不可抗力だった。
いくら既に勃起していて、ラッキーとは思ったが、もちろんわざとではないし、すぐに手を離そうとした。
しかしぎゅうぎゅう詰めに押し込まれているため、簡単には手が動かせず、もう少しこの偶然に身を委ねることにし、手はそのままでいた。
図らずも痴漢のような真似をしてしまっていることに心苦しさはあったが、(これだけ満員なのだから仕方ないだろう)と君は心の裡で必死に言い訳を並べていた。

それにしても、何の反応もなかった。
完全に掌が尻の膨らみを包み込んでいるというのに、逃げたりもしなければ、体の向きを変えたりもしない。
君はつい調子に乗って、さりげなく、あくまでもさりげなく、尻に触れている五本の手の指を同時に内側に向けて動かした。
つまり、その柔らかい肉を、揉んだのだ。
ずいぶん久々に触れた女体は、とても柔らかく魅力的だった。
その感触に酔いしれながら、君は鼻先の髪の匂いを嗅いだ。
言うまでもないことだが、変態でM男の普段の君は、女性とは全く縁がない。
そんな君にとって、代金を支払わずに女体に触れられるなんて夢のまた夢だった。
だから、この状況はかなり現実離れしていた。
ちなみに君が前回女性の体に触れたのは、半年以上前だ。
以来、性欲は専ら自慰によって解消している。

君は、女の子が何の反応も示さないのをいいいことに、図に乗り、尻に置いた手を少しずつ下方へとずらしていき、太腿を撫でた。
太腿は、尻と違って布越しではなく生足だったから、その感触は格別だった。
むっちりとして肉付きの良い健康的な太腿の質感は、この世の物質とは思えないくらい素晴らしかった。
生足の肌はしっとりと汗ばんでいて、しかしそれでいて掌に吸い付くように滑らかで、君は執拗に撫で回した。
暫くは臀部から膝の裏側へと何度も往復した後、前方へと回り込み、太腿の内側を入念に触った。
太腿の内側は、とくに温かくてすべすべで、自分と同じヒト科の生物の肌とは思えなかった。
尤も本心を言うなら、本当はそのままパンティの中へと指先を滑り込ませたかったが、君はどうにか我慢していた。
こんな蒸し暑い雨の朝のパンティはきっと湿って相当蠱惑的な質感だろうと想像したが、下着の中へ手を入れたらさすがにもうどんな言い訳も通用しそうにないと思われたので、断念した。
足や尻を撫で回すくらいなら、まだ「偶然」とか「不可抗力」とか主張できる可能性が若干残されているが、下着の中に手を入れたら完全にアウトだ。
とはいえ、君はもう正常な精神のバランス感覚を失いつつあった。
最初に偶然に尻に触れてしまったときの戸惑いのようなものは完全に消滅していて、君は太腿に掌を這わせながら、勃起したペニスを女の子の尻の量感に強く押し付けていた。
彼女の真後ろに立ち、尻に勃起を押し付けつつ右手の掌で太腿を弄り続け、さりげなく鼻孔を大きく開いて髪の匂いを吸引する。
列車の振動に合わせて群集が蠢く。
君はその動きに乗じながら、目の前の女の子の体に自分の体を密着させる。
列車が大きく揺れる。
と、その時。

「痴漢!」

という声が響いて、君の手が誰かに掴まれた。
(え!?)
君は焦ってその掴む手を振り解こうとしながら、素早く周囲に目を走らせた。
しかし手を掴んでいるのは、触っていた女の子ではなかったし、声の主もそうではなかった。
(誰だ?)
そう戸惑っていると次の瞬間、誰かに掴まれている君の右手は、ぐいっと大きく上へと持ち上げられた。
「ち、違う、やめろ」
君は否定の声を上げた。
それでも周囲の注意を引くには充分で、一斉に人々の視線が君に集中した。
その無遠慮な視線に汗を噴き出させながら、君は「違う違う」と繰り返し、手を振り解こうと体ごと捩った。

君の手を持ち上げたのは、目の前の女の子ではなく、いつのまにか君の右隣にいた女の子だった。
今まで触っていた子と同じ制服を着ていて、雰囲気も同じように派手で、ギャルっぽかった。
そちらを見ると、その女の子は気の強そうな眼で君を睨んでいた。
君は恐怖を覚えながら、それでも(ここは絶対に否定し続けるしかない)と思い、言った。
「誤解というかそっちの勘違いだろ、手を離してっ」
すると、次には、君の左側にいた、やはり同じ制服を着た女の子が、いきなり君の上着の裾を掴んで引っ張った。
「おっさん、往生際悪過ぎだわ」
思いのほかその引く力は強く、君はよろめいた。
女の子たちの声に車内がざわめき、君に視線が集まる。
君はその注視の中、もう完全に我を見失い、挙動不審に陥りながら、しかしここで認めたらすべてが終わりだ、と思い、まるで玩具をねだり続ける聞き分けのない幼子のように、女の子たちによる拘束から逃れようと必死にもがいた。
しかし走り続ける満員電車の車内に逃げ場はなかった。
君は掴まれた手を解こうと抵抗し続けながら、まるで周囲に主張するように、叫んだ。
「冤罪だ、冤罪」
列車の速度が落ち、群集が揺れた。
その動きの中、君が触っていた女の子がつと振り向き、思いっきり君の頬をビンタした。
そして続けざまに膝を繰り出し、君の鳩尾を抉った。
「うぐっ」
君はたまらず体を折った。
女の子の声が頭上から降り注ぐ。
「さんざん触ってただろうが、変態糞オヤジ、キモいもんまで押し付けやがって、今更しらばっくれてんじゃねえよ」
そう言うと、女の子は君の髪を無造作に掴んだ。
その女の子の一喝によって車内は水を打ったようにしんと静まり返った。
君は床に蹲ったまま、その居心地の悪過ぎる静寂に心臓が止まったような息苦しさを感じていた。
どうしたらいいかわからなかった。
どうやら三人は友達同士らしく、君は完全に囲まれていて、身動きが取れなかった。
列車が駅に着き、ドアが開いた。
「降りろ」
君の髪を掴んだまま女の子が言い、君の返事を待たずにそのまま引っ張って出口へと歩きだした。
抗おうとしたが、鳩尾を蹴られたことで体に全く力が入らなかったし、両脇から別の二人にがっちりと捕捉されて引き摺られていたので、どうにもならず、髪や上着を引っ張られながらそのまま下車した。

ホームに出ると、雨が降り注いだ。
小さな駅で、ホームに屋根はなく、乗ってくる客はいたが降りる客は殆どいなかった。
雨ざらしのホームのあちこちに水溜りができていて、全体的にびしょ濡れだった。
すぐに列車が発車していていき、ホームには君と女の子たちだけが残された。
無人駅らしく、駅員の姿もない。

「ナメたことしてくれたな、あ?」

女の子が髪を掴んだまま君を引き倒した。
君はなす術もなく濡れた地面に突っ伏した。
そんな君を三人の女の子たちは容赦なく蹴りまくった。
「すいませんすいません」
君はもうどんな言い訳も通用しないことを悟り、体を丸めながら、恥も外聞もなく謝罪の言葉をまるで呪文のように続けた。
雨が全身を叩き、君は温い水溜りの中で、まるで小さな蟲になったような気分だった。
惨めだった。
容赦のない蹴りは顔面にも炸裂し、鼻血まで出た。
君は蹴られ、踏まれ、罵倒され続けた。
女の子のひとりが君の背中の上に乗り、どんどんと飛び跳ねた。
「うげぇうげぇ」
君は女の子のジャンプに合わせて呻いた。
ざらざらとしたアスファルトの地面で頬が擦れて血が滲んだ。
無数の小石が肌にめり込み、涙が滲む。
それでもマゾの君は、女の子たちの暴行によって激しく勃起してしまっている。
「死ねよ、おっさん」
女の子の誰かが君の頭をがんがんと踏みつけた。
そして三人は次々に君に唾を吐き捨てた。
「キメえんだよ、糞オヤジ」
その声音には嫌悪と侮蔑の響きが込められている。

満身創痍の君は地面にだらしなく伸びている。
暴行が止んだと思ったら、もう女の子たちは改札口の方へと立ち去り始めていた。
君は漸く若干安堵し、ごろりと体を横に回転させて仰向けになった。
雨が垂直に落ちてくる。
全身が痛かった。
汗と雨で体中がべたついていて不快だった。
それでもペニスは尋常ではないくらい勃起していて、君はズボンの上からそっとその勃起を握った。

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