ホーム > 金の鎖、銀の鞭 > 新しい朝

新しい朝

たいして面白みもない紅白を惰性で見終わり、年が明けると、君は服を着て、飼い主の女性と一緒に近所の神社へ初詣に出かけ、一時前には帰宅した。
そして、再び服を脱いで全裸になってから就寝の挨拶を述べて自分のケージへ向かおう、と思いつつ、上着を脱ぎかけると、女性が唐突に言った。
「初日の出が見たいわ」
君は服を脱ぐ手を止めた。
「初日の出が見たいわ」というその言葉の意味は、「初日の出が見られる場所へ連れていけ」という命令であることが、明白だった。
「もちろん混んでいるところは嫌だけど」
女性はソファに座って長い脚を組んだまま言った。
君は着衣のままその足許に跪き、訊いた。
「日の出を見るのは、海岸からですか? それともどこか山の上からでしょうか」
「海ね、やっぱり、初日の出といったら海でしょう」
女性はあっさりとこたえた。
しかしそう簡単に言われても、初日の出が綺麗に見られる海岸のスポットなどというところは、どこも混んでいるに決まっている。
ただ、だとしても、日本全国の東に面した海岸線すべてに人が繰り出すわけではないだろうから、名のあるビーチや岬などを避ければ、静かに見られる場所もありそうに君は思った。
だから、頭の中で地図を浮かべ、どこがいいだろう? とあては何もなかったが一応考えながら、言った。
「すぐに準備致しますが、これからすぐ出発なさいますか?」
「ええ、寝たらもう起きられないわ」
「わかりました」
まだ夜明けまで時間はある。
街から高速で離れて海岸線に出て走り続ければ、夜が明ける前には、どこかいい場所が見つかるだろう。
何の根拠も確信もなかったが、楽天的に君はそう思った。

よく知らない田舎町のインターチェンジで高速を降りて、海沿いに続く国道を走った。
夜明け前の田舎道は空いていた。
擦れ違う車も殆どなく、沿道は暗い。
車の時計は午前五時過ぎを差していて、君は国道を外れると、狭い脇道に入り、名前も知らない小さな岬の突端へ車を向けた。

まだ夜明けの兆しは見えない。
やがて道が終わり、ちょっとした空き地に出た。
そのさほど広くないスペースには、車も止まっていなかったし、人の気配もなかった。
君は車を止めると、エンジンは切らずにヘッドライトだけを消してから、運転席で服を脱いだ。
窮屈だったが、仕方なかった。

周囲はまだ夜だが、ヘッドライトを消して闇に眼が慣れてくると、なんとなくうっすらと明るくなりつつあるのを感じた。
青い空気が流れている。
女性が車から降りた。
ダウンジャケットのフードをすっぽりと被り、「さすがに寒いわ」と言いながら、エンジンフードの前を回る。
服を脱ぎ終えた君もドアを開けて外に出た。
凍えるくらい空気は冷えきっていて、風も吹いていて、君は震えた。
バックシートから既にリードが付けてある首輪を取って女性に差し出した。
「お願いします」
女性は外に脚を出したまま運転席のシートに腰を下ろし、首輪を受け取った。
君は首を差し出しながら。その足許の地面に四つん這いになった。
土が剥き出しの地面は半ば凍りついていて、氷のように冷たく固かった。
女性は、君の首に、首輪を装着した。
君は、自分の意思とは関係なく、歯をガチガチと鳴らした。
体も勝手にガタガタと震えだした。
吐く息が灰色に闇に散った。
寒さが尋常ではなかった。

女性は震えている君を冷徹に見下ろしながら、君のすぐ目の前で、おもむろに大きく脚を開いた。
短いスカートの奥に、パンティストッキング越しの股間が覗く。
君はその部分を凝視した。
「十秒間だけ、いらっしゃい」
女性はそう言うと、リードをぐいっと引いて君を股間に引き寄せた。
「ありがとうございます!」
君は寒さも忘れて歓喜し、礼を述べると、女性の股間に突進した。
脚の間、スカートの奥に、顔を入れた。
その部分は、温かかった。
君はその温もりを感じながら、幸福感に包まれた。
スカートの中に突っ込んだ頭部以外は依然として極寒なのに、それまで萎えきっていたペニスは俄に勃起した。
君は、パンストの股間の温かくくぐもった香りが大好きだった。
だから、そのまま魅惑の股間に顔を埋め、強く鼻先を押し付けて柔らかさに溺れながら、君はその感触を充分に堪能し、彩り鮮やかな恍惚の中、深く呼吸する。

しかしその夢のような時間は、本当にきっかり十秒で終わった。
十秒後、女性は呆気なく、言った。
「はい、終わり」
そして君の頭を手で後方へと押し除けると、脚を閉じた。

気付くと、いつのまにか空の色がダイナミックに変わりつつあった。
もう夜明け間近だった。
君は地面でお座りをし、海を見た。

やがて辺りの空気が朱に染まり、唐突に陽が昇った。
水平線に光が走り、凛とした夜明けの空が輝く。
燃える核のような太陽が、ぐいぐいと昇ってくる。
煌めく海面には白波が立っている。
新しい朝の到来に、君は言葉をのんだ。
女性が、そんな太陽の眩しさに眼を細めながら呟く。

「おしっこしたくなっちゃった、でもトイレがないわ」

すかさず君は少しだけ車から離れると、地面で仰向けに寝て言った。
「どうぞお使い下さい」
そして大きく口を開け、静止する。

女性は何も言わず立ち上がると、地面で寝ている君を跨いだ。
そしてスカートをたくし上げると、パンストとパンティを一緒に下ろして、君の顔の上空で腰を落とした。
迫り来る女性の魅惑の股間に、君の視線と意識は釘付けになる。
陰毛の茂みの奥に息づくピンク色の秘裂がそっと開く。
と、次の瞬間、女性の股間の亀裂から聖水が勢いよく迸り出た。
それは温かく、俄に白い湯気が立ち昇る。

君は精一杯大きく口を開けて、聖水を拝受した。
しかし口の中へ注ぎ込まれ続ける大量の聖水は、すぐに口からごぼごぼと溢れて、君の顔や胸元へと流れた。
寒気の中、性器が聳り立つ。
温かい聖水は、空気に触れるとすぐに冷えて、濡れた君の体を震えさせた。

それでも君は至福の歓びに包まれていた。
生まれたての陽の光に煌めく聖水は荘厳だった。
新しい年の最初の穢れなき太陽の光は、その金色の清浄な放物線を、厳かに美しく輝かせていた。

君は必死に聖水を飲み続けながら、その光の中に希望を見た。

広告
カテゴリー:金の鎖、銀の鞭
  1. まだコメントはありません。
  1. No trackbacks yet.

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。