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噎せ返る密室

夏の昼下がり。
もうすぐ夏休みという、期末試験が終わって一学期の終業式までの、学校の授業が午前中だけの時期、高校生の君は自宅で昼食を済ませてから、友達の家へ向かった。
まだ梅雨は明けていないが、晴れて蒸し暑い日だ。
友達との約束は、適当だった。
「昼飯食ったら、行くよ」
「ああ」
という感じの約束だった。
尤も、会ってもとくにすることもない。
ただ喋ったりゲームをしたり、その程度だ。
ふたりとも、高校生にもなって未だ異性には全く縁がない。
男子校なのでそもそも出会いがないのだが、理由はそれだけでもない。
君たちは二人とも地味だし、スポーツや勉強に秀でているわけでもないし、見た目も最悪ではないが良くもない。
バイトもしていないから、普段女の子と触れ合う機会が皆無だった。

ただし、年頃の男子なので、友達は知らないが、君の性的な好奇心は相当なものだった。
もう四六時中女の子の体のことを考えているといっても過言ではないし、自慰の回数も多い。
一日に一回は必ずするし、多い日だと何度もする。
しかし、完全無欠の童貞で、キスの経験すらない君にとって、女の子というのは果てしなく遠い存在だった。
だからなのか、この頃の君は極端に童貞を拗らせてしまい、すっかり変態的になっている。
もともとM気があるのだが、最近の君は女の子の体だけでなく、女の子が身につけている衣服、つまりはパンティやソックス等に異常なほどの執着し、尚且つ、女の子の体液や体臭といった「汚れ」的なものに強く惹かれていた。
可愛い女の子の排泄行為とか、そのギャップが大きい事柄に興味が湧いてどうしようもなくなっていた。

それでも、周りに女の子がいないから、下着や靴下等を実際に手に入れることは不可能だったし、女子トイレを覗くような犯罪行為に走る勇気もなかった。
果たしてそんなものを勇気と呼べるのかどうか疑問だが、要するに、現実的な行動には一切出られないのだった。
そもそも「女の子と会話をする」という経験すらほとんどないから、君の性的な衝動はひたすら内へ内へと向かっていて、決して外側に向かって放たれることがないのだった──。

炎天下を歩いてやがて友達の家に着いた時、君は汗だくになってしまっていた。
ドアの前で鞄からタオルを出して汗を拭き、インターフォンを押すと、「は~い」という女の子のかったるそうな声がした。
友達の、妹だった。
一歳年下で、地味な兄と違って、ずいぶん派手なギャルだ。
友達曰く、けっこう遊んでいるらしく、いちおう学校は行っているが、成績は極端に悪いらしい。
友達は兄妹の気安さからか「あいつはバカだ」と言って憚らないが、実は君は密かに憧れている。
とはいえ、何度か面識はあるものの、親しく話したことはない。
なんというか、君とは別の人種という感じで、どう接したらいいのかわからないのだ。
しかし、君はそういう派手な女の子が嫌いではない。
むしろ好きだ。
ただ、接し方がわからないだけだ。

君はインターフォンに向かって名乗り、友達が在宅か訊いた。
するとすぐに返答があった。
「兄貴はいないけど、ドアは開いているからどうぞ」
そして、それだけ言うとプツリと切れた。
君は門を潜って建物まで行き、ドアを開けて「おじゃまします」と言った。
家の中は静かで、リビングの方から小さくテレビの音が聞こえていた。
「どうぞ、兄貴の部屋、知ってるでしょ」
妹の声がしたが、姿は見せなかった。
「おじゃまします」
君はもう一度律儀に言って靴を脱ぎ、廊下に上がった。
そして汗を拭きながら、閉じたままのリビングのドアに向かって訊いた。
「すぐ帰ってくるかな?」
「知らない」
やはり声だけがして、君は「そう」とこたえて、階段へ向かいかけた。
その時、汗をかいて顔を洗いたい気分だったので、やはりドア越しに訊いた。
「あの、汗をかいちゃったので洗面所を使わせてもらってもいいですか?」
「どうぞ」
妹の声がして、君はさらに言った。
「ついでにトイレも」
すると妹の声が、いちだんと面倒臭そうな響きを内包しつつ返ってきた。
「何でも好きにして、そのうち帰ってくるだろうから、兄貴の部屋で暇を潰してて」
「はい」
相手は年下なのについつい丁寧語になりつつ君は言った。
こういう時、マゾだな、と君は自分でも思ってしまう。
とくにこの彼女のようなタイプだと、跪きたくなってしまう。

君は洗面所に入った。
そして冷たい水で顔を洗った。
ずいぶん汗をかいたので、水で流しただけでも、かなりさっぱりした。
顔をタオルで拭き、ふと隣の部屋を見ると、どうやら脱衣室のようで、洗濯籠が目に入った。
その瞬間、君の中で不埒な思いが頭を擡げた。
もしかしたら彼女の洗濯物が入っているのではないか、と思ってしまったのだ。
そしていったんそういう想像をすると、もう止まらなかった。
君は耳を澄まして周りに人の気配がないことを確認すると、そっと脱衣室に移動し、洗濯籠の中を覗いた。
すると中には、女性物の下着が無造作に放り込まれていた。
それを見て、君は歓喜する。
この家に女性は妹一人しかいない。
友達の両親は離婚していて、父親と兄妹の三人暮らしだ。
ということは、この下着は間違いなく妹の物だった。
父親や友達に女性用の下着を身につける変な趣味があったとしても、そんなものを堂々と洗濯籠に放り込むことはないだろう。
君はそう判断し、心拍数が俄かに高まったことを自覚しつつも、勇気を振り絞って下着に手を伸ばした。
それは薄い水色の地にグレーの細いボーダーの、シンプルな形状のパンティだった。
生地はコットンだ。
君は念の為にもう一度周りを確認し、その下着を手に取った。
脱がれてからもうずいぶん時間が経っているのか、温もりは全くなかった。
それでも夢にまで見た女の子の柔らかいパンティの生地は、素晴らしかった。
君はそれを顔の前で広げた。
クロッチの部分に、べっとりと黄ばんだ滑りが付着している。
君はもうたまらず、その部分に顔を埋めた。
壮絶な女の匂いが鼻腔を突き抜け、ズボンの下でペニスが完全に勃起する。
君は滑りを舌で掬い、クロッチの生地に吸い付いた。
そして唇を窄めて強く吸う。

このままここで抜きたくなったが、さすがにそれは危険だった。
だから君はいったんパンティを顔から離すと、それを持って静かに脱衣室を出て、隣のトイレに入った。
そして鍵をかけ、改めてパンティを広げて左手で顔面に押し付けつつ、ズボンを下ろしてペニスを引っ張り出して、激しく扱き始めた。

個室の中は暑かった。
当然冷房などなく、閉め切られているので、たちまち汗が吹き出てきた。
しかしそんなこと気にならなかった。
生々しい女の子の匂いが激しく君を翻弄する。
君はリビングでテレビを見ている妹のことを思いながら、すぐ近くに本人が何も知らずにいるということに激しくよけいに興奮し、はあはあと息を荒げつつ彼女の核心的な匂いを嗅ぎ続け、半眼になってうっとりしながら一心不乱にしごいた。
そして、やがて呆気なく射精した。
大量の精液が噴出し、壁に飛んだ。
君は放出してようやく我に帰ると、パンティを顔から離した。
それから壁の精液をトイレットペーパーで入念に拭き取り、便器で流した。

汗が尋常じゃなく全身から噴き出していて、密室内は生々しい女臭で噎せ返っていた。
冷静さが戻ってくると、大変なことをしてしまった、と少しだけ後悔の念が湧いたが、それより充実感の方が大きかった。
生まれて初めて触れ、匂いを嗅いだ女の子のパンティは、夢のようだった。
その喜びが、君の後悔を凌駕していた。
誰にも知られないうちに下着を元の場所に戻しておけば問題は何もない、そう自分に言い聞かせた。
尤もそのためには、早く行動した方がいい。
あまりのんびりしていると、友達が帰ってくるかもしれないし、いろいろとリスクが高くなる。
君はそう思いながらトイレを出ると、再び脱衣室へ移動し、パンティを洗濯籠の中に戻してから、もう一度顔を洗った。
そして水を止めてタオルで顔を拭った。
じきに拭き終わり、君は顔を上げ、何気なく正面の鏡を見た。
「あっ」
鏡に視線を移した瞬間、君は心底から驚き、思わずそう小さな声を上げてしまった。
いつの間にか背後に友達の妹が立っていたのだ。
ピンクのTシャツに白いデニムのホットパンツといういでたちの妹は、無表情のまま腕組みをして立ち、鏡越しに君を無言のまま見つめている。

鏡の中で目が合う。
完全に無防備だったためか、君はいかにもマゾ的な気弱な眼で見上げるように、つい彼女を見てしまった。
いつからそこに立っていたのか……パンティを洗濯籠に戻すところも見られていたのか……いまの破廉恥な行為がバレてしまったのか……。
一瞬のうちにそんな思いがぐるぐると頭の中を駆け巡った。
何か言うべきかもしれなかったが、何を言えばいいのかわからなかったし、こんな場合、とくに話すことはないのだから何も言わない方が自然かもしれず、結局どうしたらいいかわからないまま、君は激しい困惑の沼にどっぷりとはまり込んでしまった。
この場にいることが不安で怖くてたまらなかった。
しかし不自然に逃げ出したら、いかにも怪しすぎるから、ふつうに行動するしかなかった。
とはいえこの場合、それがもっとも難しいことだった。
喉がカラカラに渇いて、全身に緊張の汗が滲んだ。

妹は何も言わない。
君は鏡の中の彼女の眼からさりげなさを装いつつすっと視線を外し、いま拭いたばかりの顔にまたタオルをあてがった。

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