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アンジー

ああ、おっぱいが吸いたい。
女の子の柔らかくて大きな胸を両手で大胆に揉みしだき、乳首に吸い付き、狂ったように舐めたい──。

変態M男のくせに君は、時々そんな衝動に駆られる。
しかし残念ながら君はいい歳をして童貞だ。
一応、ヘルスへ行ったことはあり、キスをしたり女体に触れたり舐めたりしたことはあるが、挿入は未経験だ。
ソープへ行けば誰でも経験できるとわかっているが、なぜか君としてはハードルが高く、行ったことがない。
ヘルスだって、小心者の君としては、清水の舞台から飛び降りるくらいの勇気を振り絞って行ったのだ。
尤もヘルスでも、相手によっては本番ができると聞いたことがある。
しかし君が誘われることはなかったし、当然ながら君の方から持ちかけることなどできなかった。
だから、君は未だ童貞なのだ。
恋人なんて、一度も出来たことはない。
女の子に告白したこともされたこともない。
好きとかいいなあとか想う人は、時々いるし、過去にもいた。
とはいえ、その気持ちを伝える勇気は全くなかった。
その代わり、性的な欲望は見事に歪み、やがてフェチやマゾに目覚めた。
そうして君は異性と縁のないまま月日を重ね、いつしか立派な変態になった。
女の子とデートするとかヘルス等へ行くとかより先に君はSMクラブを経験し、女の子とキスをしたりおっぱいに触れたり舐めたりするより先に、女性のおしっこを飲み、まんこやアヌスを舐めることとなった。
つまり君の場合、普通はA(キス)、B(ペッティング)、C(セックス)と段階を踏んで経験していくが、全部をすっ飛ばしてSMへ行ってしまったのだ。

君は悶々とした気持ちのまま残業を終えて職場を出ると、駅へ向かった。
曇天の夜で、空には月も星もない。
君は歩きながら職場の女の子たちのことを考える。
職場には女の子が何人もいて、胸の膨らみや尻のボリュームを常に君に見せつけながら挑発している。
もちろんそれは君の思い違いというか勘違いで、彼女たちは君など眼中にない。
業務に関すること以外で君が彼女たちと会話を交わすことはないし、一緒にランチに行くこと等も絶対にありえない。
忘年会や新年会や職場の飲み会なんかだと、その他大勢とともに同席することはあるが、着席位置は離れるし、私的な遣り取りは生じない。
しかし君は彼女たちをチラチラと盗み見しては、おっぱいを揉みたいとか吸いたいとか、尻に抱きつきたいとか顔を埋めたいとかアヌスに舌を捩じ込んで舐めまくりたいとか、破廉恥な妄想を密かに勝手に抱いている。
ただ同時に、童貞を拗らせたM男としては、そういう自分を彼女たちから蔑まれたい、という欲求もある。
つまり、未だ童貞であることを見透かされつつひとりで昂ぶっている姿を憐れまれ、一生ひとりでシコシコしてろ、と吐き捨てられたくなるのだ。
いずれにしても、今夜は妙にムラムラしていて、君はヘルスにでも行って女体を貪ろうか、と思った。
君は紛れもなくM男だが、今夜はSM的な調教を受けたいという気分ではなかった。
だからヘルスへ行こうと思ったのだが、ふと現実的な気持ちになり、財布の中身を思うと、なんとも心許なくて、残念ながら諦めるしかないようだった。
(家でオナニーするしかないか……)
君は心の内で溜め息を吐き、暗い街路を歩いた。
やがて滑り台やジャングルジムやブランコ等が設置された広めの公園があって、小さなトイレの建物が見えた。
昼間なら子供達が遊んでいるのだろうが、夜の今は誰もいない。
君は尿意を覚えて、トイレへ向かった。

トイレに入ると、男女共用だった。
そのことがわかった瞬間、君の中に不埒なアイディアが浮かんだ。
ここの個室でオナニーしよう、と思ったのだ。
どうせ誰も来ないだろうし、男女共用なのだから堂々と個室に入れる。
何より公園の公衆トイレの割にはそんなに汚くはなかったから、そういう気持ちになれた。
さすがの君でもあまりに汚いトイレではそういう気になれない。
タイルの壁に清掃スケジュールの紙が貼ってあって、日付と時間が記されている欄に判子が捺してあり、どうやら一日に二度、役場かどこかの人間が掃除をしているようだった。
君はひとまず先に男性用でおしっこをすると、続いて個室に入った。
トイレは洋式だった。
君はドアを閉め、念のためにスライド式のロックを横へ滑らせて鍵をかけてから、上着のポケットから電話を取り出した。
そしてイヤホンのコードを接続して耳に装着し、動画ファイルを選んだ。
それはネットからダウンロードした動画で、M気のある童貞が年下の女の子たちにオモチャにされるというストーリーだった。
再生が始まると、いきなり耳元で女の子の罵倒が響いた。
小さな画面の中で、首輪だけをつけた貧相な全裸のM男が女の子達の前で跪き、ひたすら足の臭いを嗅いでいる。
何も考えずに再生ボタンをタップしたので、前回視聴を停止した場所から再開されたのだ。
つまり前回、そこで君は果てたのだった。
それはともかく、君はいちいち先頭まで戻さずそのままボリュームを上げると、ズボンのチャックを下ろして、すでに勃起しているペニスを引っ張り出した。
仮性包茎のそれは、完全に勃起しても、そのままではまだ亀頭の半分ほどを隠している。
君はその皮を剥くと、左手で電話を持ち、右手でペニスを握りながら、ゆっくりと扱き始める。
もう何十回と観て使っている動画だが、未だ飽きない。

画面の中のM男が裸になった一人の女の子の胸にむしゃぶりついた。
女の子はリードを持ったまま狂ったようにバストの膨らみに溺れているM男の態度に笑いまくっている。
M男は乳房を揉み、乳首に吸い付いているが、女の子は全く感じている様子がない。
君は画面の中のM男に自分を重ねてペニスを扱く速度を速めた。

と、その時。
ガチャガチャとドアを開けようとする音が突然聞こえて、君は、いきなり現実に引き戻された。
入ってます、とこたえようとしたが、その前に、ロックがしっかりとかかっていなかったのか、ドアが開いてしまった。
「あああ」
君は慌てて剥き出しのペニスを、扱いていた手でそのまま隠した。
「うわっ」
ドアを開けたのは女の子で、君を見た瞬間、そんな声を上げた。
「ちょ、ちょ、ちょっと……」
君は完全にパニックに陥りながら、左手に電話を持ち、右手で股間を隠しながら、彼女に背中を向けた。
まさかドアが開くとは思ってもいなかった。
誰か来るかもしれないとは思ってはいたが、こんな時間だし、おそらく誰も来ないだろうと油断していた。
だから突然ドアを開けられて、しかも女の子に開けられて、君は激しく混乱した。
女の子は、おそらくまだ十代後半くらいだろう、迷彩柄のパーカにホワイトデニムのミニスカートを履いていて、足元はハイカットの白いレザースニーカーという出で立ちで、栗色の長い髪が公衆トイレのさめざめとした蛍光灯の明かりを受けて艶めいていた。
化粧か香水かとてもいい匂いが君の鼻腔を擽る。
剥き出しの脚の肉感が素晴らしく、パーカを着ていても、その下の胸の大きな隆起がわかる。
「す、すいません」
なぜか咄嗟に君は謝罪し、ペニスをズボンの中にしまおうとした。
電話の画面の中の動画はまだ再生中だったが、イヤホンをしているため音が漏れてはいないこともあり、それを停止することは後回しにした。
とにかく性器をしまわなければ、と思った。
扱く手を止めると途端に亀頭の半ばを包皮が隠してしまう包茎をいつまでも晒しているわけにはいかなかった。

「何してんだよ」
明らさまに嘲笑を声音に含ませて女の子が言った。
それは怒っているというより呆れているという雰囲気の調子だった。
「すいません」
どうして鍵をかけた個室のドアを突然開けられた自分が謝らなければならないのかと多少は理不尽に思ったが、状況だけ鑑みればどう贔屓目に見ても君に正当性がある構図ではなかったので、君はとりあえずここは謝るしかないと考えた。
そして、しまうものをしまったらそそくさと逃げ出す、それしかないと思った。
しかし緊張のあまりペニスがなかなかズボンの中に収まらなかった。
しかも相当慌てたからか、チャックが生地を噛んでしまい、うまく動かない。
そんな君を見下ろして、女の子はせせら笑った。
大柄な女の子で、靴のせいもあるかもしれなかったが、君より背が高かった。
ちょうど電話のディスプレイが彼女から見えて、女の子は言った。
「何見て変なことやってたの? ちょっと見せてみ」
そう言うと女の子は君の返事を待たずに携帯電話をひったくった。
その拍子にイヤホンが抜けて、電話本体のスピーカーから大きなボリュームで音声が流れでてしまった。
動画の中のM男が女の子の乳に酔いしれながら、消え入りそうな憐れな声で哀願している。
「腋も舐めさせてください」
「しょうがない変態だな、ほら舐めろ」
ケラケラ笑いながら腕を大きく持ち上げた女の子の腋にM男は顔を埋めながら歓喜する。
「ありがとうございますー」
リードを短く持たれながら半眼で舌を伸ばし、フンフンと鼻を鳴らしながら腋に顔を埋めて舐めあげ陶酔し、同時に自慰をしているM男を見て、電話を取り上げた女の子は爆笑した。
「なんだよ、これ」
「すいません」
「超必死に舐めてて笑えるー、しかもシコってるし」
小さな画面の中ではそうして腋を舐めながら扱いているM男の顔に、別の女の子の足が伸びてきて、素足の爪先でM男の唇を弄び始めると、M男は腋や胸への執着を中断し、その足の指を口に含み、舐め始める。
「こいつ、何者だよ」
女の子が呆れたように笑った。
君はひとまずペニスをしまうことを断念し、女の子から電話を奪還しようと手を伸ばした。
「すいません、返してください」
しかしその君の手はすぐに女の子によって払いのけられた。
「いいから、ちょっと待て」
女の子は吐き捨て、その場にしゃがんだ。
その際、無防備に短いスカートの裾がめくり上がり、パンティが丸見えになった。
ピンクの小さな布に、君の視線は釘付けになる。
女の子がすかさず君を見上げて言う。
「パンツ見て、興奮するのか?」
「すいません……」
君はその通りだったので素直に認めて俯いた。
仮性包茎のペニスを晒したまま、タイル張りの床に目を落としつつ、しかしそれでもチラリとまたパンティを盗み見してしまう。
「ねえ、こんな動画見てシコってたってことは、M男?」
「ええ、まあ……」
恥ずかしさで顔が真っ赤になるのを自覚しながら君は否定しなかった。
この手の動画を見ていてM男ではないなんて理屈は通じないだろう。
電話の画面の中の女の子が足を舐め続けているM男に言う。
「さすが童貞を拗らせたM男、やることなすことキモいわ」
そのセリフを聞いて、女の子が笑いながら君に訊く。
「もしかして、童貞?」
「は、はい……」
違うと答えても良かったが、今更そんな見栄に何か意味があるとも思えず、肯定した。
「っていうか、お前、いくつ?」
明らかに自分より遥かに年下の女の子に「お前」呼ばわりされたことにM男として君は興奮しながら、しかし小声で恥ずかしげに答えた。
サバを読んでも仕方ないので正確な年齢を告げると、女の子は手を叩いて爆笑した。
「マジかよ、お前、つうかその歳までいったい何してたんだよ? ひたすらずっとシコシコか?」
女の子は侮蔑の嘲笑を容赦なく君に浴びせ、自分の年齢を伝えた後、続ける。
「あたしなんかまだ十代でもバンバンやりまくってるのに……だいたいお前さあ、あたしが生まれた時、いくつよ?」
君は頭の中で引き算をして爆発的な羞恥心に襲われた。
しかしこんな包茎のペニスを丸出しにした憐れな格好を晒している状態で今更気取って見せても無意味だろうから、計算の結果の年齢を述べた。
「だろ? なのに今のこの状況、どうよ?」
「恥ずかしいです……」
君は項垂れた。
沈黙が落ちると、電話からM男の喘ぎ声が響いてきて、君はいっそう恥ずかしくなった。
そんな君を、女の子は下から無遠慮に見上げる。
その強い視線に射抜かれて、君はつい口走ってしまう。
「お願いします、セックスさせてください! 筆下ろししてください! お願いします!」
君は目を閉じて一気に言い、頭を下げた。
「はあ?」
女の子は立ち上がり、君の顎に手をかけて前を向かせた。
君は恐る恐る目を開けた。
化粧映えのする派手な女の子の綺麗な顔が間近にあって、君はゴクリと生唾を飲み込み、視線を泳がせる。
そんな君に、女の子は大袈裟に溜め息を吐いてみせる。
「そんな情けない、しかも皮被りの小さなチンコで何ができるんだよ、無理だわ」
「そこを何とか、何でもしますから、命令してください、そして色々教えてください、何でもします、お願いします!」
君は必死に食らいついた。
すると女の子は再びしゃがんで君にパンティを見せつけながら、命じた。
「じゃあ、ここで一所懸命シコシコしながらお願いしてごらん? できる?」
「はい! できます!」
君は右手でペニスを持つと、猛然と自慰を開始した。
女の子の視線を感じると、感度が増して、一気に熱り立った。
君はそれをひたすら扱き上げながら、懇願する。
「お願いします、セックスさせてください、おっぱいを吸わせてください、お願いします! お願いします!」
君は場所が場所だけにそれほどの大きな声は出さなかったが、彼女の大きなバストを見つめてその感触を想いながら、それなりに気持ちを込めて言った。
遊び慣れていそうだから、もしも経験させてもらえれば、いろいろなことを教えてもらえそうだった。
君は彼女の体を夢見ながら、口を半開きにして猛進する豚の如くひたすら夢中で扱く。
「いつもそうやってくっせえチンコ必死にシコシコしてんの?」
「は、はい……そうです」
「お前、いい歳ぶっこいてどんだけオナニーが好きなんだよ?」
「すいません……」
君は息を弾ませながら謝るが、無論その間も決して手は止めない。
「おぞましすぎて超受けるんだけど」
バンバンと手を叩いて女の子は大笑いし、君の顔を見上げた。
「あーでも、ごめん、やっぱ無理無理、キモすぎて、無理」
顔の前で大きく手を振って軽やかに笑いながらあっさりと宣言し、続ける。
「お前みたいな変態はオナニーで充分だって、ほらほら、このままシコシコしていっちゃいなよ、見ててやるから、それだけでも嬉しいだろ?」
「はい……」
確かに見られながらする自慰は興奮するし、嬉しかった。
しかも見てくれているのは若くて美しい女の子なのだ。
しかしセックスできないことには落胆した。
それでも、君はもう止まらなかった。
はあはあはあはあ、と息を荒げながらそのまま激しくペニスをしごき続け、やがて射精の衝動を迎えた。
「あ、あ、イ、イキそうです……」
目を閉じ、手を動かしながら声を漏らす。
「あたしに汚いもん掛けるなよ」
そう言い、女の子は腰を浮かすと、横に位置をずらした。
その数秒後、君は華々しく射精した。
大量の精液が亀頭の先端から噴出し、放物線を描いて床に落下した。
「本当に出しやがった」
苦笑混じり女の子が言った。

君が自分の精液で汚れてしまった手をハンカチで拭っているうちに、女の子は立ち上がり、依然として再生が続いている電話を君に差し出した。
「じゃあ行くわ」
君が電話を受け取ると、それだけ言って、トイレから出て行った。
余韻も何もなかった。
女の子は振り返らず、そのままどこかへと立ち去ってしまった。
君は動画の再生を止めてプレイヤーを終了してから電話をポケットに入れ、床に落ちている自分の精液を見つめながら、強烈な虚しさに襲われた。
しかしいつまでもここでこうしているわけにもいかなかったので、君はペニスをズボンの中に収めると、個室を出て、手を洗った。
そしてトイレを出た。

夜の公園は無人だった。
女の子の姿はもうどこにもない。
君は電話を取り出し、イヤホンを接続して耳に差し込んだ。
そしてミュージックプレイヤーを起動し、適当なプレイリストを再生すると、「アンジー」が流れてきた。
君は大きく深呼吸し、空を見上げた。
月のない空は、雲が垂れ込めていて、真っ暗だった。
君は「アンジー」を聴きながら駅への道を歩き出した。

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